赤ちゃんはお話の筋を追えません。でも、声の抑揚や、ページがめくれる音や、大人のひざの感触は、ちゃんと届いています。0歳・1歳の絵本えらびは「理解できるか」ではなく「どんな入口から入るか」で考えると、迷いが減ります。
ここでは4つの入口に分けて並べました。順位ではありません。赤ちゃんの反応を見ながら、合いそうなところから試してみてください。
入口1:音とリズムで遊ぶ
言葉の意味がわからなくても、音そのものが楽しい絵本があります。
もこ もこもこは、「しーん」「もこ」「にょき」という音と、ふしぎな形だけでできています。物語も教訓もないので、大人のほうが先に戸惑うかもしれません。でも赤ちゃんは笑います。読む速さや声の大きさを変えると、そのたびにちがう絵本になります。文は詩人の谷川俊太郎です。
だるまさんがは、「だ・る・ま・さ・ん・が」と読むだけで、読み手の体が自然に左右にゆれます。その動きを赤ちゃんがまねしはじめたら、もう読み聞かせが成立しています。
入口2:めくる動作そのものが楽しい
ページをめくる、という絵本だけの仕組みを使った本です。
いないいないばあは、めくる動作がそのまま「ばあ」になります。にゃあにゃ、くまちゃんが、つぎつぎにこちらを見ます。動物たちがまっすぐ読者と目を合わせる絵なので、生後数か月の赤ちゃんでも顔に反応します。
大人がめくってもいいし、赤ちゃんが自分でめくりたがったら任せてかまいません。順番どおりに進まなくても、絵本は壊れません。
入口3:指さしがはじまったら
1歳前後で、指でさす動作が出てきます。ここから絵本の楽しみ方が一段変わります。
きんぎょがにげたは、その時期にちょうど合う絵本です。にげたきんぎょが、カーテンの模様やキャンディのびんにまぎれこみます。「どこ?」と聞いて、赤ちゃんが「ここ!」と指をさす。その往復が読書になります。むずかしすぎず、簡単すぎない隠れ方が続きます。
このころは、絵本を口に入れたり、放り投げたりもします。それも絵本とのつきあい方のひとつです。
入口4:寝る前の1冊にする
毎晩同じ絵本を読むと、それが「もう寝る時間」の合図になります。
おつきさまこんばんはは、屋根の上に出たおつきさまに挨拶する絵本です。おつきさまの表情が、にっこり、こまった顔、また笑顔と変わっていきます。
おやすみなさい おつきさまは、部屋にあるものひとつひとつに「おやすみなさい」を言っていくうちに、ページをめくるごとに部屋が暗くなっていきます。静かなくり返しが、そのまま子守歌のように働きます。原書はマーガレット・ワイズ・ブラウンの文で、日本語版は瀬田貞二の訳です。
4つの入口のちがい
| 入口 | 例 | 赤ちゃんの反応 | 向いている時間 |
|---|---|---|---|
| 音とリズム | もこ もこもこ/だるまさんが | 声を出す、体がゆれる | 元気な時間 |
| めくり | いないいないばあ | 顔を見る、笑う | ひざの上で |
| 指さし | きんぎょがにげた | 指でさす | 待ち時間にも |
| 寝る前 | おつきさまこんばんは/おやすみなさい おつきさま | 静かになる | 消灯前 |
うまくいかない日のこと
最後まで読めない、途中でどこかへ行ってしまう、同じページばかり開く。どれもよくあることです。0歳・1歳のあいだは、1冊を読み通すことが目標ではありません。声が聞こえていれば十分です。
絵本を嫌がる日が続くときは、しばらく本棚に戻しておいて、数か月後にもう一度出してみてください。同じ絵本が、別の絵本のように受け取られることがあります。
まとめ
赤ちゃんの絵本は「音」「めくり」「指さし」「寝る前」のどれかの入口から選ぶと、選びやすくなります。 まずは1冊、くり返し読める本があれば十分です。この街の0歳から読める絵本と1歳から読める絵本、それから「はじめての絵本」の一覧も、選ぶときの参考にしてください。