ラフを描いて、台割でページの割りふりも決めた。それでも、まだ分からないことがあります。それは「めくったときにどう見えるか」です。
絵本の作り方 はじめの一歩で「いちばん大事な段階」と書いたダミー本を、ここで実際に作ってみます。用意するのはコピー用紙と鉛筆、あればホチキスだけです。
ダミー本は「めくれる試作品」
ダミー本は、ラフを本の形に綴じた、手づくりの試作品です。上手に描く必要はありません。棒人間と、だいたいの文が入っていれば十分です。
場面を並べて描いたラフは全体を一度に見渡せますが、それは読者がしない見方です。読者は一場面ずつしか見られず、次の場面はめくるまで隠れています。ダミー本は、その「読者の見え方」を作り手が先に体験するための道具です。
作り方1 ── 1枚の紙で作る小さな8ページ本
最初の一冊は、1枚の紙で作る小さな本がおすすめです。お話の全体を短く試したいときに向いています。
- 紙を横長に置き、半分、さらに半分、もう一度半分と折って、8つのマスの折り目をつける
- いったん開き、縦長の半分に折って、折り目の真ん中の2マス分だけ、はさみで切れ目を入れる
- 横長に開き直して、切れ目が口を開けるように左右から押し、8ページの小冊子にたたむ
表紙と裏表紙を除くと、お話に使えるのは6ページ分です。場面が少ないぶん、「どこでめくらせるか」だけに集中できます。
作り方2 ── 紙を重ねて折る32ページ本
本番に近い形で確かめたいときは、絵本はなぜ32ページ?で書いた32ページで作ってみます。
紙1枚を半分に折ると4ページになるので、32ページなら8枚です。8枚をそろえて重ね、まとめて真ん中で折り、折り目をホチキスで2か所留めます。これで、真ん中で綴じた冊子になります。
先にページ番号を鉛筆で小さく書き込んでから、ラフを写していくと迷いません。縦書きの文なら右開き、横書きの文なら左開きにするのが一般的なので、開く向きもここで決めておきます。
めくって確かめる4つのこと
ダミー本ができたら、声に出して読みながら、ゆっくりめくってみてください。見るところは次の4つです。
| 確かめること | 見るポイント |
|---|---|
| めくりの位置 | 「次はどうなる?」の答えが、めくった先にあるか |
| 見開きの使い方 | 左右2ページを1枚の絵として使う場面が、単調になっていないか |
| ノド(綴じ目) | 顔や大事なものが、真ん中の綴じ目にかかっていないか |
| 文の量 | 1場面で読む文が長すぎて、めくる手が止まっていないか |
めくりの位置は、いちばん大切です。いないいないばあは「いないいない」と顔を隠したところでページが終わり、めくると「ばあ」になります。だるまさんがも、「だ・る・ま・さ・ん・が」の先はめくるまで見えません。問いを右ページに置き、答えをめくった先に置く。この順番がずれていないかを確かめます。
きんぎょがにげたのように、めくるたびに「どこ?」と探す絵本もあります。並べて見ると答えが先に目に入ってしまうこうした仕掛けは、ダミー本にして初めて効き目が分かります。作者は五味太郎です。
はらぺこあおむしのように穴やページの幅を使う仕掛けを考えているなら、ダミー本にも実際に穴をあけ、紙を切ってみてください。思ったより指が引っかからない、隣のページまで透けて見える、といったことはここで分かります。
読んでもらって、直す
自分で何度かめくったら、誰かに読んでもらいます。できれば、読者になる年齢の子どもに読み聞かせてみてください。どこで身を乗り出すか、どこで飽きて別のほうを向くか。その反応が、直す場所を教えてくれます。
直すときは、ダミー本を何冊作り直してもかまいません。場面を入れかえたいなら、ページを切り離して並べ替え、また綴じ直します。本番の絵を描いてから直すより、ずっと手間がかかりません。
まとめ
ダミー本は、紙を折ってラフを綴じた「めくれる試作品」です。めくりの位置・見開き・ノド・文の量を、読者と同じ見え方で確かめられるのは、この段階だけです。 まずは1枚の紙の8ページ本から作ってみてください。めくりのうまい絵本を探したいときは、0歳から読める絵本や1歳から読める絵本を、ダミー本と同じ目でめくってみるのもおすすめです。