絵本の絵を考えるとき、つい1ページずつ描きたくなります。けれど、本を開いた読者の目の前にあるのは、左右2ページを合わせた横長の画面です。
この画面を見開きといいます。絵本のラフ(サムネイル)の描き方で枠を横長にしたのも、そのためです。ここでは、見開きの中で絵をどちらへ進ませるか、場面をどう変えるかを考えてみます。
進む向きは、本の開く向きとそろえやすい
題に「左から右へ」と書きましたが、これは左開きの本の話です。右開きの本では向きが逆になります。
| 本の開き方 | 文字の組み方(一般的な例) | 次のページがある側 | 「先へ進む」に見えやすい向き |
|---|---|---|---|
| 左開き | 横書き | 右 | 左から右へ |
| 右開き | 縦書き | 左 | 右から左へ |
人物や乗りものが次のページのある側へ向かっていると、めくる手の動きと絵の動きがそろいます。読者の手と一緒に、お話も先へ進むように感じられるのです。
絵の向きは、翻訳でも気にかけられてきたことです。かつて左開きの海外絵本を縦書き・右開きの日本語版にするとき、絵を左右反転して印刷した例があったことも、研究で報告されています。
自分の絵本を作るなら、絵を描く前に開く向きを決めておきましょう。
向きを逆にすると、何が起きるか
これは決まりではありません。逆の向きにも使いみちがあります。
たとえば、進む向きと反対から何かがやってくる場面。読者には、向こうから近づいてくるように見えるかもしれません。主人公が立ち止まる、ふり返る、家へ帰る。そんな場面で向きを変えてみるのも、ひとつの方法です。
「くり返し」と「行って帰る」の形のお話なら、行きと帰りで向きを変えるかどうかを試してみてください。効果の出方は絵や文によって変わるので、ダミー本でめくって確かめるのが確実です。
場面を変える3つの方法
次の見開きへ移るときの変え方には、たとえば次のようなものがあります。
- 場所を変える … こんとあきは、汽車に乗ってさきゅうまちへ向かう旅のお話です。作者は林明子です。場所が移っていくお話では、前の場面とのつながりが読者に伝わるかを見ます
- 場所は変えず、まわりを変える … ちいさいおうちは、おうちの位置を変えず、まわりの風景を変えていきます。めくることが、そのまま時間の流れになります
- 追いかける目印を置く … 文字のないかさでは、黒い線の町の中で、女の子のかさだけが赤く描かれています。場面が変わっても、目が追うものが残ります
1つの見開きをどう使うか
見開きの使い方によっても、お話の速さは変わります。
| 使い方 | 生まれやすい効果 | 例 |
|---|---|---|
| 小さな絵をいくつも並べる | 1つの画面の中で時間が進む | しろくまちゃんのほっとけーきの、12枚のフライパンの場面 |
| 細かいものをずらりと並べる | 足を止めて、じっくり見る | からすのパンやさんの、パンが並ぶ場面 |
| 全面に広い景色を描く | ひと息ついて、広さを味わう | こんとあきの、砂丘の場面 |
| 文字のない見開きを続ける | ことばを離れて、絵に入りこむ | かいじゅうたちのいるところの、かいじゅうたちの島の場面 |
モーリス・センダックのこの絵本も、はじめは絵が小さく、だんだん広がっていきます。全部の場面を同じ使い方にする必要はありません。
自分のお話でも、いちばん見せたい場面をひとつ決めて、そこに大きな見開きを使ってみてください。すべてを大きく描くより、前後の場面との差が出やすくなります。
まとめ
見開きは、左右2ページを合わせた1つの画面です。まず本の開く向きを決め、絵の進む向きをそろえるか変えるかを、めくって確かめながら選んでいきましょう。 使える見開きの数は絵本はなぜ32ページ?の台割で確かめられます。手もとの絵本を、絵の進む向きに注目してめくるのもよい練習です。3歳から読める絵本や4歳から読める絵本から、開く向きのちがう本を探してみてください。