ひとりで遊んでいるのに、どこか元気がない。理由を聞いても「わかんない」と返ってくる。さびしさは、本人にもうまくことばにできないことがあります。そんなとき、絵本は「元気を出して」と言わなくても、そばに置いておけます。
ここでは、さびしさの種類を4つの軸に分けて絵本を並べました。順位ではありません。大人が自分のために開く本としても選べます。
軸1:家のなかで、自分の場所がゆらぐとき
いちばん身近なさびしさは、家のなかで生まれることがあります。
ピーターのいすは、妹が生まれて、自分の使っていた家具がピンクにぬりかえられていくピーターのお話です。ちょっとだけのなっちゃんは、お母さんが赤ちゃんのお世話でいそがしいなか、いろいろなことをひとりでやってみようとします。
どちらも、下の子が生まれたときの本として知られていますが、「だれかに自分の場所をとられた気がする」さびしさは、ほかの場面でも起こります。きょうだいの場面での選び方はきょうだいが生まれる子に読む絵本にまとめています。
軸2:ひとりで広い世界にいるとき
まわりにだれもいない、という感覚を、絵の広さで見せてくれる絵本があります。
スイミーは、大きなまぐろにおそわれて、きょうだいをなくした小さな魚のお話です。ひとりぼっちになったスイミーが広い海をおよいでいく場面では、作者レオ・レオニの海が大きく広がります。
アンジュール ある犬の物語は、車の窓から捨てられた犬の一日を描いた、文字のない絵本です。鉛筆の線だけで、犬のひとりぼっちが伝わってきます。捨てられる場面から始まるので、小さな子に渡す前に大人が読んでおくと安心です。
ちいさいおうちでは、丘の上のおうちのまわりだけが、どんどん変わっていきます。引っ越しや転園など、なじんだ景色が変わるときのさびしさに重ねて読めます。
軸3:だれかといても、さびしいとき
さびしさは、ひとりのときだけのものではありません。
かいじゅうたちのいるところのマックスは、かいじゅうたちの王さまになって思いきり暴れたあと、さびしくなります。楽しい時間のあとに、ふと胸があいてしまう。その感じを、子どもも知っているのかもしれません。
しろいうさぎとくろいうさぎのくろいうさぎは、毎日いっしょに遊んでいるのに、ときどき悲しそうな顔をします。なかよしの相手がいても、胸のなかに言えないことがある。そんな静かな場面から始まる絵本です。
軸4:大切な存在をなくしたとき
死別のさびしさは、ほかのさびしさと同じようには扱えません。読むかどうか、いつ読むかは、本人の様子を見て決めてください。
くまとやまねこは、なかよしのことりが死んでしまい、悲しみのなかで部屋に閉じこもるくまのお話です。早く元気になることを求めない描き方で、いま悲しみのただなかにいる人には、つらく感じられることもあります。
100万回生きたねこは、死と生をまっすぐに描いた絵本です。どちらも、まず大人が自分で読んでから、手わたすかどうかを考えるとよいでしょう。
読むときの心がまえ
| 軸 | 絵本 | 年齢の目安 |
|---|---|---|
| 自分の場所がゆらぐ | ピーターのいす/ちょっとだけ | 3歳ごろ〜 |
| ひとりで広い世界にいる | スイミー/ちいさいおうち/アンジュール | 4歳ごろ〜/4歳ごろ〜/5歳ごろ〜 |
| だれかといてもさびしい | かいじゅうたちのいるところ/しろいうさぎとくろいうさぎ | 4歳ごろ〜 |
| 大切な存在をなくした | くまとやまねこ/100万回生きたねこ | 5歳ごろ〜 |
読み終えたあとに「さびしかったんだね」と気持ちを決めてしまったり、「だからだいじょうぶ」とまとめたりしなくてかまいません。何も言わずに閉じる日があってもいいですし、途中でやめてもいいのです。読み方に迷ったら読み聞かせのコツも参考にしてください。
まとめ
さびしさの絵本は、励ますためではなく、「そういう気持ちがある」と隣に置くために選ぶと、押しつけにならずに手わたせます。 さびしさを描いた絵本は「さびしい」の一覧、5歳ごろからの絵本は5歳から読める絵本でも探せます。