読みもの

読み聞かせのコツ ── 上手に読もうとしなくていい

2026.09.22読み聞かせ絵本の基礎知識

読み聞かせがうまくできている気がしない、という声をよく聞きます。声色を使ったほうがいいのか、感情をこめたほうがいいのか。

結論から言うと、上手に読もうとしなくて大丈夫です。読み聞かせで効いているのは演技力ではなく、もっと地味なところ──本の持ち方や、めくる速さや、読んだあとの沈黙のほうです。ここでは、今日から変えられる小さなコツを並べます。

1. 本の持ち方 ── 絵が見えているか

まず確かめたいのは、子どもに絵がちゃんと見えているかどうかです。

ひざに乗せて読むなら、あまり気にしなくてかまいません。問題は向かい合って読むときで、大人が本を自分のほうに傾けてしまいがちです。文字を読もうとすると、どうしてもそうなります。

本は子ども側に向けて、自分は少し斜め上から文字をのぞく。指は絵にかからないよう、ページのふちを持ちます。文が覚えられない本は、読む前に一度自分だけで通して読んでおくと、当日は絵のほうに本を向けたままでいられます。

大きく開いて読みたい本ほど、この差が出ます。おおきなかぶのように、人や動物が横一列に並んでいく絵は、端が見切れているとつながりが伝わりません。

2. めくり方 ── めくる速さが、話の速さ

絵本は、ページをめくることで進む本です。だから、めくる速さがそのまま物語の速さになります。

読み終わった文の直後にすぐめくらない。子どもが絵を見る時間を少し残してから、めくる。これだけで、ずいぶん落ち着いた読み聞かせになります。

逆に、ためを作ったほうがいい場面もあります。いないいないばあやだるまさんがは、めくる動作そのものが仕掛けになっている絵本です。「だ・る・ま・さ・ん・が」と言い終えてから、一拍おいてめくる。そのわずかな間があるかないかで、笑いが変わります。

めくりたがる子には、任せてしまってかまいません。順番が前後しても、絵本は壊れません。

3. 声 ── 声色より、速さと大きさ

登場人物ごとに声を変えなければ、と思っている人が多いのですが、必須ではありません。声色を使うと、子どもの注意が「絵と話」から「読んでいる大人」に移ることもあります。

変えるなら、声色よりも速さと大きさです。追いかける場面は速く、夜の場面は小さく。それだけで場面の空気は変わります。

三びきのやぎのがらがらどんは、その練習にちょうどいい絵本です。小さいやぎ、中くらいのやぎ、大きいやぎと、同じ形のやりとりが3回くり返されます。3回とも同じ調子で読んでもいいのですが、だんだん声を低く、ゆっくりにしていくと、橋を渡る足音の重さが変わって聞こえます。

音そのものが主役の絵本なら、もっと自由でかまいません。もこ もこもこは、読む速さと声の大きさを変えるたびに別の絵本になります。「正しい読み方」がない本です。

4. 質問しすぎない

読み聞かせでいちばん惜しいのが、これです。

「これ何色かな?」「どうしてこうしたと思う?」と、読みながら質問をはさむ。よかれと思ってのことですが、質問が続くと、絵本の時間がテストの時間になります。子どもは答えを探しはじめて、話の中にいられなくなります。

質問が生きるのは、絵本の側が最初からそう作られているときです。きんぎょがにげたの「どこ?」は、本文そのものが問いかけの形なので、聞いていい問いです。

それ以外のときは、読み終わったあとも、感想を聞かなくて大丈夫です。黙ってページを閉じる。子どものほうから何か言い出したら、そこで聞けば十分です。言わない日も、届いていないわけではありません。

5. 最後まで読めなくてもいい

途中でどこかへ行ってしまう、同じページだけ何度も開く、別の本を持ってくる。どれもよくあることです。

1冊を読み通すことは目標ではありません。とくに小さいうちは、声が聞こえている時間があれば十分です。

読む本を子どもが選ぶ、というのも大事なところです。大人から見て簡単すぎる本、何十回も読んだ本を持ってきても、そのまま読んであげてください。同じ本をくり返し読みたがる時期には、そうしたい理由があります。

小さなコツのまとめ

場面よくある形変えてみる
持ち方本が大人側に傾く子ども側に向け、指は絵にかけない
めくり読み終えてすぐめくる絵を見る間を少し残す
声声色をがんばる速さと大きさだけ変える
途中質問をはさむ本文が問う形のときだけ聞く
読後感想をたずねる黙って閉じる

まとめ

読み聞かせで効くのは演技力ではなく、絵が見えているか、めくる間があるか、そして質問しすぎないかどうかです。上手に読むより、同じ本をくり返し読めるほうが大切です。 まずは短い1冊から試してみてください。0歳から読める絵本や3歳から読める絵本の一覧も、選ぶときの参考になります。

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