お話ができて、ダミー本でめくりを確かめて、本番の絵も描けた。残っているのは、綴じて一冊にする作業です。
絵本の作り方 はじめの一歩で「別の記事で扱います」とした、家でできる製本の方法をここでまとめます。紙と、のりかホチキスがあれば始められます。
先に決めること ── 製本は絵を描く前に選ぶ
製本は最後の作業ですが、方法を決めるのは絵を描く前です。綴じ方によって、1枚の紙のどこにどのページを描くかが変わるからです。
本番の紙に向かう前に、ダミー本を本番と同じ綴じ方で作っておくと、描く場所をまちがえません。3つの方法のちがいを先に並べておきます。
| 方法 | 使うもの | 向いている絵本 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 中とじ | ホチキスまたは針と糸 | ページ数が多めのお話 | ページの並びが紙の上でばらばらになる |
| じゃばら | のり | 絵がつながる短いお話 | 長い紙が必要。折り目をそろえる |
| 貼り合わせ | のり | 見開きの絵を大きく見せたい本 | のりのつけすぎで紙が波うつ |
方法1 ── 中とじ(紙を重ねて真ん中で留める)
紙を何枚か重ねて半分に折り、折り目を留める方法です。薄い雑誌やパンフレットと同じ形です。
- 紙を重ねてそろえ、まとめて半分に折る
- 折り目の上をホチキスで2か所留める。ふつうのホチキスが届かなければ、針と糸で縫う
- 紙の枚数が多いと開く側の端がずれるので、気になるときは定規を当ててカッターで切りそろえる
紙1枚で4ページになるので、ページ数は4の倍数になります。絵本はなぜ32ページ?で書いた、折って作る本のしくみと同じです。
気をつけたいのは、1枚の紙の左右に、はなれたページが並ぶことです。8ページの本なら、いちばん外側の紙の表には8ページと1ページが、裏には2ページと7ページが来ます。先に白い紙で綴じた見本を作り、ページ番号を書いてからばらすと、どこに何を描けばいいかが分かります。
方法2 ── じゃばら(長い紙を折りたたむ)
横に長い紙を、山折りと谷折りを交互にくり返してたたむ方法です。綴じる作業がいらないので、3つの中でいちばん手軽です。
- 長い紙を用意する。足りなければ、端にのりしろをとって紙をつなぐ
- 端をきちんとそろえながら、同じ幅で折りたたむ
- 両端に、ひとまわり大きい厚紙を貼って表紙にする
じゃばらの本は、1ページずつめくって読むことも、全部を広げて1枚の長い絵として見ることもできます。道がずっと続いていく話、行列がだんだん長くなる話、朝から夜へ時間が流れていく話など、絵が横につながるお話に向いています。
方法3 ── 貼り合わせ(見開きごとに描いて裏を貼る)
見開き1場面を1枚の紙に描き、あとから貼り合わせて本にする方法です。
- 紙の片面に、見開き1場面の絵を描く
- 絵を内側にして、半分に折る
- 場面の順に重ね、となり合う紙の裏どうしを貼り合わせる
- 背にぐるりと表紙の紙を巻いて貼る
この方法のよいところは3つあります。見開きの絵が真ん中で切れないこと。ページが紙2枚分の厚さになって、小さな子がめくりやすいこと。そして、1場面ずつ別の紙なので、失敗した場面だけ描き直せることです。ページの並びを考えなくていいのも楽な点です。
貼り絵やコラージュのように紙が厚くなる描き方とも相性がいい方法です。せなけいこのようなちぎり絵に挑戦するなら、この綴じ方が扱いやすいでしょう。
のりは、水分の少ないスティックのりや両面テープを使うと、紙が波うちにくくなります。貼ったあとは、重い本をのせてしばらく置いておきます。
しかけを入れるなら
はらぺこあおむしのように穴をあけたい、ページの幅を変えたいというときは、綴じる前に加工をすませます。貼り合わせなら、穴をあけた紙どうしの位置を合わせながら貼れるので、ずれを直しやすくなります。市販の絵本の作りを見たいときは、しかけ絵本の一覧の本を、綴じ目に注目してめくってみてください。
まとめ
家でできる製本は、紙を重ねて留める「中とじ」、長い紙をたたむ「じゃばら」、見開きごとに貼る「貼り合わせ」の3つです。はじめての一冊なら、ページの並びを考えなくてよく、描き直しもしやすい「貼り合わせ」から試すのがおすすめです。 綴じ方は絵を描く前に決めて、同じ方法のダミー本で確かめておきましょう。厚い紙でできた赤ちゃん向けの絵本を見たいときは、0歳から読める絵本も参考になります。