絵本を作りたいけれど、絵に自信がない。そう感じて手が止まっている人は少なくありません。
でも、本棚の絵本をよく見ると、筆でていねいに描いた絵ばかりではないことに気づきます。紙を切って貼ったもの、ちぎって貼ったもの、黒い線だけのもの。絵本の作り方 はじめの一歩で「自分が続けられる方法を選ぶ」と書いた、その選択肢をここで具体的に見ていきます。
コラージュ ── 色を作ってから、切って貼る
コラージュは、紙などを切り抜いて画面に貼りつけていく方法です。
はらぺこあおむしのエリック・カールは、薄い紙に自分で絵の具を塗って色紙を作り、それを切り抜いて貼ることで絵を組み立てました。あおむしの体に見える筆のあとやむらは、塗った紙そのものの表情です。
家で試すなら、まず「色の紙」をたくさん作るところから始めます。
- 薄めの紙に、絵の具を筆やスポンジで塗る。むらがあってかまわない
- 乾いたら、色ごとに分けて取っておく
- 下絵に合わせて形を切り、重ねて貼る
描くのではなく「選んで、切って、置く」作業なので、線を引くのが苦手な人でも形が作れます。置いてみてから貼れるので、何度でもやり直せるのも利点です。
ちぎり絵 ── 紙のふちが輪郭になる
はさみを使わず、手でちぎって貼る方法もあります。
せなけいこは、包装紙や色紙をちぎって貼る貼り絵で絵本を描きました。ねないこ だれだのおばけは、ちぎった紙のけばだったふちが、そのままふわふわした輪郭になっています。
レオ・レオニのあおくんときいろちゃんも、ちぎった色紙でできています。顔も手足もない色のまるが、置かれる位置と距離だけで、よろこんだりさびしがったりします。同じレオニのフレデリックでは、紙で作ったねずみたちが、シンプルな形のまま豊かなしぐさを見せます。
ちぎり絵は、思いどおりの形にならないことが味になります。細かい部分を描きこむより、形を大きく、数を少なくするほうが画面がまとまります。
線画 ── 余白も絵のうち
色を使わず、線だけで描く絵本もあります。
シェル・シルヴァスタインのおおきな木は、黒い線だけの、余白の多い画面です。描かれていない部分が多いぶん、読む人が自分の気持ちを重ねる場所が残ります。もりのなかも黒一色の絵本で、色がないことが、かえって森の奥行きになっています。
線画で気をつけたいのは、登場人物の顔や体の形を、全ページで同じに保つことです。最初に人物の決まった描き方を1枚にまとめておくと、ページをまたいでもぶれにくくなります。
方法をまぜてもいい
レオ・レオニは、スイミーで水彩のにじみやスタンプのような手法を使い、ページごとにちがう質感の海を作っています。ひとつの方法にしばる必要はありません。
| 方法 | 向いている人 | 気をつけること |
|---|---|---|
| コラージュ | 色を考えるのが好き | 貼る前に置いて確かめる |
| ちぎり絵 | 細かい線が苦手 | 形を大きく、数を少なく |
| 線画 | 余白を生かしたい | 人物の形を全ページでそろえる |
どの方法でも、本番の前にダミー本で流れを固めておくと、描き直しが減ります。
まとめ
絵本の絵には、コラージュ、ちぎり絵、線画など、筆で描く以外の方法がたくさんあります。「うまく描けるか」より「最後まで続けられるか」で、自分に合う方法を選んでみてください。 気になる方法があれば、2歳から読める絵本や4歳から読める絵本の中から、同じ方法で描かれた絵本を探して、じっくり眺めてみるのもおすすめです。