読みもの

大人が自分のために読む絵本

2026.10.02おすすめ選びかた贈りもの

絵本は、子どもに読んであげるもの。そう思っていると、大人がひとりで絵本を開く機会はなかなかありません。でも、数分で読み終わる短さのなかに、何年もたってから意味がわかる一文が入っていることがあります。

ここでは、この街で「大人にも」のしるしをつけている絵本を、3つの軸に分けて並べました。順位ではありません。いまの気分に近い軸から選んでみてください。

軸1:あたりまえを考えなおす

毎日の暮らしで疑わずにいることを、少しだけ揺らしてくれる絵本です。

りんごかもしれないは、テーブルの上のりんごを見て「これはりんごじゃないのかもしれない」と考えはじめる男の子のお話です。中身は機械かもしれない、何かの一部かもしれない。ばかばかしい想像が次々に出てきて笑ってしまいますが、読み終わると、目の前のものを決めつけていたことに気づきます。作者はヨシタケシンスケです。

フレデリックは、冬じたくに励む仲間のなかで、ひとりだけ「おひさまのひかり」や色や言葉を集めているのねずみのお話です。役に立つとはどういうことか。仕事や家事に追われているときほど、フレデリックの姿が気になります。作者はレオ・レオニ、訳は谷川俊太郎です。

軸2:時間の流れを見わたす

一生や何十年という長い時間を、数十ページにおさめた絵本です。子どものころに読んだことがあっても、大人になってから読むと、目にとまる場面が変わります。

ちいさいおうちは、丘の上のおうちが、まわりの風景が変わっていくのをじっと見ている絵本です。道路ができ、建物が増え、季節の感じ方まで変わっていく。自分の住む町の変化と重ねて読む人も多いと思います。作者はバージニア・リー・バートンです。

おおきな木は、少年とりんごの木の長い年月を、黒い線だけで描いた絵本です。与えつづける木を「愛」と読むか、受けとりつづける少年を「身勝手」と読むか、答えは書かれていません。親になってから、あるいは親の年齢に近づいてから読むと、受けとり方がまた変わります。作者はシェル・シルヴァスタインです。

100万回生きたねこは、何度生まれ変わってもだれのことも好きにならなかったねこのお話です。生きることと死ぬことを正面から扱った絵本なので、軽い気持ちで手にとるより、ひとりで静かに読める時間に開くのが向いています。作者は佐野洋子です。

軸3:だれかを想う

大切な人のことを考えたくなる絵本です。

しろいうさぎとくろいうさぎは、森でいっしょに遊ぶ2ひきのうさぎのお話です。くろいうさぎがときどき悲しそうな顔をする理由は、とてもまっすぐな願いごとでした。やわらかな毛並みの絵と短い言葉で、相手を想う気持ちがそのまま伝わってきます。作者はガース・ウィリアムズです。

3つの軸のちがい

軸絵本こんなときに
あたりまえを考えなおすりんごかもしれない/フレデリック頭が固くなっていると感じたとき、忙しさに追われているとき
時間の流れを見わたすちいさいおうち/おおきな木/100万回生きたねこ引っ越しや節目のとき、ひとりで静かに過ごせる夜
だれかを想うしろいうさぎとくろいうさぎ大切な人を思いうかべたいとき、贈りものを探しているとき

大人が読むときは、声に出さなくてかまいません。ただ、一度だけ声に出して読んでみると、黙読では流してしまった言葉の重さに気づくことがあります。読み聞かせと同じで、急がず、ページをめくる前に少し間をおくのがおすすめです。

まとめ

大人のための絵本は「あたりまえを考えなおす」「時間の流れを見わたす」「だれかを想う」のどれに浸りたいかで選ぶと、いまの自分に合う1冊が見つかります。 この街の「大人にも」の絵本の一覧もあわせてのぞいてみてください。

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