読みもの

海外絵本は「訳者」で選ぶ

2026.10.10選びかた絵本の基礎知識読み聞かせ

海外の絵本を選ぶとき、作者や絵の雰囲気を見る人は多いと思います。もうひとつ見てほしいのが、表紙や奥付にある「訳」の名前です。

絵本は声に出して読むものなので、日本語にした人のことばの選び方が、そのまま読み心地になります。ここでは、この街で紹介している絵本から3人の訳者を取りあげて、どこに注目すると選びやすいかをまとめました。

訳者で選ぶと、なにがいいのか

気に入った絵本の訳者がわかると、作者がちがっても「読みやすさ」が似た本にたどりつけます。読み聞かせをする大人にとっては、口になじむかどうかも大切です。

訳の好みは人それぞれで、どれが正しいということはありません。声に出して読んで、つかえずに読めるか、子どもが楽しそうに聞いているかを目安にしてください。表記の読み方は「作」「絵」「訳」「再話」── 絵本の表紙の読み方でも説明しています。

谷川俊太郎 ── 声に出したくなるリズム

詩人の谷川俊太郎は、レオ・レオニの絵本を日本語にしています。

スイミーでは、海の生きものを紹介する場面のことばが、短く区切られて並びます。読むとリズムが生まれ、海の景色が一枚ずつ目の前に浮かぶようです。同じ作者・同じ訳者のフレデリックは、仲間が冬じたくをするなか、ひとりちがうことをしているねずみのお話。こちらも、声に出すと気持ちのいい日本語です。

ことば遊びが好きな子、くり返し声に出したがる子には、谷川俊太郎の訳から入るのが合うかもしれません。この街での一覧は谷川俊太郎 訳の絵本にあります。

石井桃子 ── 小さな子の耳に届くことば

石井桃子の訳は、この街では3冊紹介しています。

ゆきのひのうさこちゃんは、ディック・ブルーナの絵本です。英語では「Miffy」と呼ばれる女の子が、この日本語版では「うさこちゃん」。短い文で、1歳ごろから読めます。

ピーターラビットのおはなしは、イギリスのビアトリクス・ポターの絵本。いたずらなうさぎの冒険が落ちついた語り口で進みます。ちいさいおうちは、長い年月のあいだに変わっていくまわりの景色を、一軒の家の目から見つめるお話です。

赤ちゃん向けの短い絵本から、4歳ごろからのじっくり聞くお話まで、年齢に合わせて選べるのが石井桃子の訳の特徴です。一覧は石井桃子 訳の絵本へ。

瀬田貞二 ── 昔話の語りの調子

三びきのやぎのがらがらどんは、ノルウェーの昔話をもとにした絵本です。瀬田貞二の訳は、語り手がその場で話して聞かせているような調子で、トロルが出てくる場面の緊張感と、お話を閉じる決まり文句の心地よさが印象に残ります。

同じ瀬田貞二の訳でも、おやすみなさい おつきさまはがらりと雰囲気がちがいます。部屋のなかのものに順番に「おやすみ」を言っていく、静かな寝る前の絵本です。一覧は瀬田貞二 訳の絵本で見られます。

3人の訳を一覧で

訳者この街で紹介している絵本年齢の目安読んだときの感じ
谷川俊太郎スイミー、フレデリック4歳ごろ〜リズムよく、声に出したくなる
石井桃子ゆきのひのうさこちゃん、ピーターラビットのおはなし、ちいさいおうち1歳ごろ〜/4歳ごろ〜短い文から、じっくり聞く語りまで
瀬田貞二三びきのやぎのがらがらどん、おやすみなさい おつきさま1歳ごろ〜/3歳ごろ〜昔話の語り口と、静かな夜の声

ほかにも、おおきな木は村上春樹、しろいうさぎとくろいうさぎは松岡享子の訳です。訳者の名前は、絵本ページの書誌情報から一覧へたどれます。

まとめ

海外の絵本は、訳者の名前を見ると、自分や子どもの耳に合う日本語の絵本を探しやすくなります。気に入った一冊があったら、同じ訳者のほかの絵本も声に出して読んでみてください。 はじめての海外絵本選びには、海外の絵本、はじめの3冊はこれもあわせてどうぞ。

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