保育園や学校から、むすっとした顔で帰ってくる日があります。聞いてみると、友だちとけんかをしたらしい。そんな日に、絵本は「どうしたらよかったか」を教える道具ではなく、気持ちをいったん置いておける場所になります。
ここでは、友だちとけんかした日に読みたい絵本を4つの軸で並べました。順位ではありません。子どもの様子に近いものから選んでみてください。
軸1:怒りをそのまま見つめる
けんかをした直後は、まだ怒りがおさまっていないことがほとんどです。
けんかのきもちは、なかよしのこうたと大げんかをした、たいのお話です。こうたがあやまっても、たいの気持ちはすぐには切りかわりません。太い線と強い色で描かれた絵から、くやしさで体が熱くなる感じが伝わってきます。
この本は「早くゆるしてあげようね」とは言いません。腹が立っている自分を、そのまま見ていていい。けんかの当日に読むなら、まずはこの1冊がおすすめです。
軸2:けんかした相手と、いっしょに乗りこえる
けんかした相手は、次の日も同じ教室にいます。
おしいれのぼうけんは、保育園でけんかをして、おしいれに入れられたさとしとあきらのお話です。暗やみのなかで、さっきまでけんかしていたふたりが、手をつないでいっしょにこわいものに立ち向かいます。80ページある長いお話なので、年長さんから小学校低学年に、何日かに分けて読むのも楽しい読み方です。
仲直りのことばがなくても、いっしょに何かをやりとげるうちに関係がもどっていく。子どものけんかには、そういうこともよくあります。
軸3:ちがっていても、仲間
けんかのもとが「あの子だけ、ちがうことをする」だったときは、少し視点を変えてみます。
フレデリックは、仲間が冬にそなえて働くなか、ひとりだけじっとすわっているのねずみのお話です。仲間はふしぎに思いながらも、フレデリックを追いだしたりはしません。スイミーも、ひとりだけ色のちがう小さな魚が、仲間といっしょにやり方を考えるお話です。どちらも作者はレオ・レオニで、4歳ごろから読めます。
「ちがう子がいてもいいんだね」と大人がまとめる必要はありません。お話をながめるだけで、子どもはいろいろなことを考えています。
軸4:なかよしの気持ちを思い出す
少し時間がたって、怒りがしずまってきたら、なかよしでいるうれしさを思い出せる絵本もいいでしょう。
あおくんときいろちゃんは、なかよしのあおくんときいろちゃんが、うれしくて抱きあったら、ふたりとも緑になってしまうお話です。顔も手足もない色のまるが、喜んだり泣いたりします。2歳ごろから楽しめるので、小さい子のけんかの日にも手わたせます。
11ぴきのねこのねこたちは、約束をやぶるし欲ばりですが、いつもいっしょにいます。けんかを少し引いた目で笑える、にぎやかな1冊です。
4つの軸のちがい
| 軸 | 絵本 | 年齢の目安 | 読むとよさそうなとき |
|---|---|---|---|
| 怒りをそのまま見つめる | けんかのきもち | 4歳ごろ〜 | けんかをした当日 |
| けんかした相手と乗りこえる | おしいれのぼうけん | 5歳ごろ〜 | 数日かけてゆっくり |
| ちがっていても仲間 | フレデリック/スイミー | 4歳ごろ〜 | けんかのもとが「ちがい」だったとき |
| なかよしの気持ちを思い出す | あおくんときいろちゃん/11ぴきのねこ | 2歳ごろ〜/3歳ごろ〜 | 気持ちが落ちついてから |
読むときの心がまえ
けんかの絵本を読んだあとに、「だから明日あやまろうね」と結論をつけたくなることがあります。けれども、仲直りのタイミングを決めるのは子ども自身です。絵本は、気持ちを話すきっかけになれば十分です。読みかたの基本は読み聞かせのコツも参考にしてください。
まとめ
友だちとけんかした日の絵本は、「いま子どもがどの気持ちのなかにいるか」で選ぶと、仲直りを急がせずに寄りそえます。 友だちや仲間を描いた絵本は「なかま」の一覧、4歳ごろからの絵本は4歳から読める絵本でも探せます。