海外の絵本には、日本語の題(邦題)と、もとの国で付けられた題(原題)があります。ふだんは邦題しか目にしませんが、並べてみると、訳した人がどんなことを考えて題を決めたのかが少し見えてきます。
ここでは、この街で紹介している海外の絵本の原題を並べて、邦題との関係を3つに分けてみました。
そのまま訳した題
いちばん多いのは、原題をほぼそのまま日本語にしたものです。
スイミー(Swimmy)とフレデリック(Frederick)は、主人公の名前がそのまま題になっています。ちいさいおうち(The Little House)、もりのなか(In the Forest)、ゆきのひ(The Snowy Day)も、ほとんど同じ意味です。
それでも、ひらがなで書くか漢字で書くかは訳者が選んでいます。「ちいさいおうち」「もりのなか」とひらがなで並ぶと、字を読みはじめた子でも自分で読めます。
ことばを足した題、言いかえた題
原題の意味をいかしながら、日本語として声に出しやすいことばに置きかえた題もあります。
はらぺこあおむしの原題は The Very Hungry Caterpillar。「とてもおなかのすいた」が「はらぺこ」になりました。どろんこハリーは Harry the Dirty Dog で、「きたない犬」ではなく「どろんこ」です。どちらも、子どもが口にしたくなる音のことばが選ばれています。
三びきのやぎのがらがらどんは The Three Billy Goats Gruff。英語の gruff には「声がしわがれた」「ぶっきらぼうな」という意味があり、それがやぎたちの名前「がらがらどん」になっています。昔話の語りのなかで、何度もくり返される名前です。
中身から付けなおした題
原題とはちがう角度から、新しく題を付けたものもあります。
しろいうさぎとくろいうさぎの原題は The Rabbits’ Wedding で、直訳すると「うさぎたちの結婚式」です。邦題は、お話のはじめに出てくる2ひきの姿をそのまま題にしています。
おおきな木は The Giving Tree。原題の giving は「与える」という意味ですが、邦題はそこを言わずに、木の大きさだけを伝えています。読む人によって受けとり方が分かれる絵本なので、題が答えを先に言わない形になっているとも読めます。
かいじゅうたちのいるところは Where the Wild Things Are。wild things を「かいじゅう」としたことで、日本語版ではおかあさんがマックスをしかることばの「かいじゅう」と、題のことばがつながっています。
名前が変わった主人公
題だけでなく、主人公の名前が変わることもあります。ゆきのひのうさこちゃんは、英語の題では Miffy in the Snow。石井桃子の訳では「うさこちゃん」と呼ばれています。訳者による読み心地のちがいは海外絵本は「訳者」で選ぶで紹介しています。
| 邦題 | 原題 | 関係 |
|---|---|---|
| スイミー | Swimmy | 名前そのまま |
| ちいさいおうち | The Little House | そのまま訳した |
| はらぺこあおむし | The Very Hungry Caterpillar | ことばを言いかえた |
| どろんこハリー | Harry the Dirty Dog | ことばを言いかえた |
| しろいうさぎとくろいうさぎ | The Rabbits’ Wedding | 付けなおした |
| おおきな木 | The Giving Tree | 付けなおした |
まとめ
邦題と原題を並べると、訳した人が日本の子どもにどう届けようとしたのかが見えてきます。 絵本ページの書誌情報には原題も載せているので、気になった一冊から、作・絵・訳の表記の読み方とあわせて確かめてみてください。